昨年末の年賀繁忙期の出来事。
年末年始の外務ゆうメイトとして応募してきた或る高校生♂が、出勤初日に無断欠勤。家に電話をすると母親が出たので事情を説明。しかし、息子さんが郵便局でバイトをする事を全く知らなかった様子。更にその後、受話器越しから「(母)早くバイトに行けよ!」「(子)うるせーんだよ!」ともの凄い親子バトルが始まってしまった。暫しの論戦の末、息子さんが電話に出たので、無断欠勤はいけないんだよ〜と紳士的に諭してあげた。この日は出勤できないので明日は必ず出勤しますとのこと。
あまり仲の良くない親子かな…という印象だった。
翌日、件の少年が出勤してきた。
「おはようございます!」
しっかり目を見て挨拶の出来る子だった。仕事に関しても、最後まで責任を持ってちゃんとやり遂げる子で特に問題は見られなかった。ところがその日の午後、その少年の母親から或る件で電話が入った。
年末年始アルバイトの給与はゆうちょ口座に振り込まれることになっており、口座未開設の者は新規に口座を開設してもらう事になっていた。実は、その件についての電話で、要は息子の口座を開設する時間が無いので、私(母親)の口座に給与を振り込んで欲しいと言うことだった。初めてのケースだったので即答を避け、総務の給与担当に相談すると、答えはNOであった。
再び少年の母親に電話をかけて事情を説明したのだが、ご納得いただけない様子。「息子に金を渡すとロクなものに遣わないから私が管理する!」というのがママの言い分だ。問題があるのは母親の方だったのである。
夕方、なんと母親が窓口に来て「私の口座に振り込むようにしろ!」と騒いでいるという。総務の担当者が改めて事情を説明し、お帰り頂いた。
年が明けて、少年は初日の無断欠勤以外、しっかりと最後まで働いてくれた。働かない古株の正社員よりもしっかりと働いていた。
「今年の年末も来てくれよ!」と言ったら、「はい、また来ます!」と言ってくれた。私は居ないが…。
後日、テレビを見ていたら、今回のケースと非常によく似た事例について解説をしていた。それによると、
労働基準法第59条にて、
「賃金請求権
未成年者は、独立して賃金を請求することができる。親権者又は後見人は、未成年者の賃金を代って受け取ってはならない。」
としっかり規定されている。例え親が管理するからといっても、代わって子供の給与を受け取ることは違法だと言うことだ。
果たして、少年が汗を流して働いた見返りは、ちゃんと少年の手に渡ったのだろうか?今頃になって、ふと思い出した、年末の出来事でした。
草々
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